頑張りが報われるシステム?ミニストップが守りたい”オーナーの利益”
開発企画チーム 東 真吾 氏
本日は宜しくお願いします。いろいろと教えて下さい。ミニストップの特徴を教えて下さい。
見た目と、中身それぞれの特徴をご説明します。
まず大きな特徴としては、親会社がイオンということで、流通系のコンビニエンスストアということ。
ミニストップは国内ではそれほど多い印象はないと思いますが、海外では5カ国に進出しています。
既に海外の合計店舗数は日本を超えていて、現在は全世界で5,200店舗を超える規模のチェーンになりました。
ご存じのようにファーストフードをメインとしたコンセプトでやっているので、お店には食事ができるイートインスペースと厨房スペースが必ずあります。ですから、現在少し広めのお店にしようと試みています。既存店に比べて店内が10坪ずつくらい、広い造りになっています。
ミニストップと言えばソフトクリームは外せない
そうなんですか!?
はい、もちろん、都心部では特殊店ではすごく狭いところもあって、ソフトクリームも売っていないようなお店も中にはあります。これらが外側から見た特徴です。
世間一般ではコンビニとされますが、コンビニエンスの商品と、ファーストフードの商品と合わせてコンボストアスタイルと位置付けて社内では呼んでいます。
ある方が「ミニストップさんはコンビニじゃないよね」という表現をしてくれました。そう言っていただけるのは嬉しい褒め言葉であり、そのように感じていただけるように、ずっと差別化を図ってきました。
しかし、昨今はいろいろな面で真似されるようになり競争があります。
やはり当然の流れで、商品はどうしても「売れるものを置く」傾向にありますので、どこのコンビニも同じように見えてしまうんです。でもそういった面を克服してうまく変えていけるように社内でアレコレ模索して頑張っているところです。
なるほど、差別化に向けて試行錯誤されているんですね。最近できるコンビニはイートインコーナーがあるケースが多いように感じますが、ソフトクリームはないですよね?
あれは当社しかできませんね。フリーザーの機械と、原料と、排水施設等、恐らく他のコンビニさんには、あの形からつくれません。おにぎりをつくったりする、厨房施設があるということは大きな強みです。そこは、絶対に他社が真似できないポイントです。
ソフトクリームというのは、排水が必要なんですね。
そうです。毎日、洗浄殺菌をしています。深夜は数時間の間、今、少し販売できません、ごめんなさいと。それを毎日やっていて、排水して清潔な環境は徹底しています。
イオングループが保持する流通網が大きな強みとなる
競合を含めて現在のコンビニ業界、市場環境を御社はどのように捉えていますか?
以前に比べると、お客様の利用率は上がっているものの、全体で見れば一定のピークは越えたと感じています。
ただ、ミニストップはまだ27都道府県しか出ていません。開発というのは、当然土地が動くので、たとえば土地の相続によって、今まで全然取り組めなかった土地で契約してお店をつくる等、可能性は秘めています。
そういう意味ではまずは廃れた商店街に改めてコンビニが出店するというケースもあるでしょう。 確かに、以前のように出店場所は選び放題ではありませんが、まだまだ出店余地はあると考えており、さらに突っ込んでお話すると、これまでとは違う形のコンビニが時代に応じて変化して現れてもいいと考えています。
皆さんがご存知の世間一般で知っているようなコンビニが、人口の減少と高齢化によって形態が変わってくると思います。コンビニの特徴として、一番いいことは、とにかく変化に対応をしてきた、今後していくであろうということが、一番楽しめるところかと思います。そういう意味でマーケットとしても面白みがありますね。
今あるお店が変化する事で、お客様に違った価値をご提供したいと考えています。
それは商品の魅せ方でしょうか?また、今後どのように変化するのか具体的に教えて下さい。
急激な変化はないと思っています。ただ、いずれは人口が減って、高齢者が増える事で、おそらく遠方に行かなくなる、車でも出掛けなくなる。そうした際に宅配なのか、形態は分かりませんが、我々が提供する販売方法が変わってくると思います。ですから、お客様の環境の変化に対して我々がどのように変わっていけるか、適応できるかということが重要です。
アプローチ方法は、今後いろいろと試していくということですか?
そうです。例えば、ホームセンターやグループ会社のイオンでもセルフレジを導入していますが、セルフレジや自動レジは既にかなり浸透して一般化してきています。もちろん当社でも少しずつ取り入れています。
自分で買ったものは自分で処理をして、自分で袋に入れたほうが早いですからね。要は、わずらわしいこと、並ぶ、店員の対応を待つ、そういったがストレスが一切ないようなものが一般的になって求められて時に、コンビニがそれに適応したら、またいろいろな部分が変わってくると思います。
ただ、コンビニの場合はご存知のように24時間営業ですので、防犯体制やその他の面で投資が必要になります。
正直、24時間営業でなくても…と思う店はたくさんあります。実際にそうしたいけれど、反面、いつも開いてる安心など考えるとイヤイヤちょっと待てよ。という面もあります。もしもミニストップが最初に24時間営業ではない店舗を展開したら?他のコンビニさんがどう動くのか。という全体の変化はあるかもしれませんね。あくまで仮定の話ですが。
高齢者の方がメインの客層になってくると、夜の売り上げが明らかに減るであろう、そうなれば、夜の時間帯を閉める可能性もあるということですか?
やはり都心に比べて郊外店舗では、深夜の時間帯では来店数は少ないですね。ただ、バックヤード、商品陳列、清掃などお店全体では、やるべきことがたくさんあるんです。
早朝からお客さまが来店するわけですから、お迎えする体制を整える為にお店自体が「リセット」をすることで、掃除、発注、納品をする時間としては有効ではあります。
お客さまに対して、ミニストップにいつでも来てください!と解放しているイメージの方が、今は絶対にいいでしょうね。
少し余談になりますが、正社員・アルバイト含めて人員確保が年々厳しくなっています。
コンビニ業界全体的に言えることで、スーパーもそうだし、流通関係は全て厳しいです。ですから、必要に迫られて、店舗は開けておきたい。けれど、働き手が足りないから、先ほど言った24時間セルフレジをしなければいけない、という時代がくるかもしれません。
これから日本の人口はドンドン減ると言われていますね。
そうです。現在主要コンビニ14チェーンで55,000店舗あるとされ、これが20~30年後、人口が減ってきているのにそのまま維持できるのかと言えば、非常に疑わしいところです。そこは逆境と捉えるのではなく、むしろ機会を利用して何か新しいものに変えていければいいと思います。
CISCAってどうでしょう、今後の軸となる業態でしょうか?
ご存知なんですね。CISCAは新コンセプトです。イートインコーナーでお酒が飲めて、中で売っている商品もコンビニにないものをご用意しています。おつまみ系レンジで温めてご提供しています。いま、5、6店舗試験的に展開しています。
この業態は都心部で考えています。郊外では難しいですが、都心部のオフィス街で、女性の方に選ばれるお店づくりをコンセプトとしたようなお店ですが、店舗展開できるのか。いろいろと試行錯誤していますね。
変わらなければいけない…
一般的にあるコンビニエンスストアは、もう変えなければいけないんです。今の実態、形が、もう古いんです。あらゆる変化に適応した未来型にどんどんわれわれが特徴を出して、変えていく必要があるのです。
ミニストップのいいところは、2,200店舗規模のチェーンであること。1万店舗もあるわけではないんです。だからこそできることがある。少数だからこそ、打ち出せるものが絶対にあるハズです。融通が利く為、小回りが利いてスピード感を持ってトライできる。フランチャイズはもっと大きな可能性があると考えており、私自身もさらにチャレンジしたいと考えています。
いまお話したように、どんどんチャレンジしたいと考えている中で、このように加盟検討者の方に対してメッセージが発信できるのは正直嬉しいです。
ミニストップは新しいものにドンドン挑戦をして、失敗したらまた次の可能性にトライできるよう考え抜くというスタンスです。
チャレンジする社風なんですね。同業他社と比較しての「強み」を教えて下さい。
お伝えしたようなチャレンジする社風、それとやはりハード面で厨房があるということです。他のコンビニさんでもいろんなファーストフードを提供していますが、油を揚げる機械はすぐに導入できます。
ミニストップはそれにプラス、違うことがいろいろできています。特に、コールドデザートに関しては、絶対に真似できないもの。ですから、そういう開発を今まで35年間やってきたものが、ひとつの大きな武器と言えます。今後は、この武器に磨きをかけていきたいと思います。
また、日本最大の流通規模を誇るイオンがグループ会社ですから、流通網を持つ強みを活かした上で今後もお客様を見失わずに「新しいもの」を生み出したいと考えています。
ミニストップはちょっと違うな…
フランチャイズの業界において「何か、ミニストップは違うな」と感じて頂けるようにしたいですね。2015年4月から、出稿する媒体や体制など大きく見直しを行いました。
FCショーなどのイベントにほとんど出店しておらず、口コミや加盟検討者の方が情報を探して加盟している状態でした。そのおかげか周りが少しずつ、ザワザワし始めました。「ミニストップが、何かやるぞ」と。おもしろい話ですが、フランチャイズのPR施策について、「ウチもやっていいですか?」って競合のコンビニさんが相談に来ましたね。
この1年で大きく変わりました。人員も増強して、これからもっと加盟希望者の方にミニストップを知って頂けるよう啓蒙活動を続けたいと思います。
内容が少し変わりますが、加盟後、オーナーさんが3~4カ月経たったとします。そした加盟1年生のオーナーさんからの問い合わせは、具体的にはどのようなことが多いのですか。やはり「売り上げ」に関わることでしょうか?
オーナー様によってさまざまです。スーパーバイザーが毎週訪店して、最初は開発担当もフォローしながら、多角的にサポートします。
人材採用に関しては、非常に苦労しているという話はよく耳にします。
当社には、人事部と加盟店サポート部があって、アルバイト募集において、連動して話す機会が増えました。それだけ人材不足については、大きな課題として受け止めています。
採用に困ってないお店もたくさんあります。開業して10年経つけれど、アルバイト募集をかけたことがないというお店もあります。田舎で、辺鄙な立地の店舗。正直、ココに応募あるのかなという場所です。にも関わらず、採用面に苦労しない。それは、評判や経営者の腕なのです。
たとえばお子さんを塾に通わせるにしても親御さんが「評判」で決めるケースは多いでしょう。アルバイトをしたいなと考えた時、子ども自身が決める場合も多いものの、親御さんが判断するケースも少なくありません。
ご自身が買い物をした際に、すごく雰囲気が良くて、ココは働きやすそうだと感じて頂ければ求職者の方だけでなく、親御さんも選ぶわけです。
そういう魅力のあるお店は本当に素晴らしいというか、困っていないのです。若い方が少なくなる事実は変わらない中で、どうしたら自分のお店は困らずに済むのか?本部だけでなく、加盟オーナー様の頑張りで、差が大きく出る問題ですね。
なるほど。オーナーによって全然違うんですね。売り上げ面では、地域の格差というのは違いは大きいですか?
当然、都心部はお客様が多い為、売上が多いわけです。比例して時給も高い。地方は比較すると断然時給は安いですね。
オーナーの収益、利益で言うと、大きな違いはそんなにありません。むしろ郊外店舗のの方が「儲け」のあるケースがあります。ココはいろんな要素から「利益率」が弾き出される為、一概にいえませんね。
たとえばお客様がたくさん来て売れるものの、タバコばかり売れる場合、1割しか粗利がないので、利益率が下がって忙しいわりには儲けがないということもあります。
ミニストップははファーストフードの利益率が高いんです。売り上げはそれほど大きくないけれどファーストフードの率が高いと、こんなに儲かっているのだ、という店舗もあります。
地域の要素も重要ですが、ミニストップは、その中身、売り上げ構成をオーナーの力、努力次第で変化させられる、という点が魅力なんです。ファーストフードでいうと、競合は粗利が3割、ミニストップは5割程度です。また、ロイヤリティーが違うところがミソですね。
オーナーが報われることが大切だという
売れば、売るほど、オーナーが儲かると?
ファーストフードはロイヤリティが定率なんです。ある一定以上、たくさん売ったとしても、これ以上はいりませんよ、とオーナー様が儲けやすくしています。
ミニストップは半分ファーストフード事業なので、そこに力を入れて「売る努力」をすることで成功率が上がります。本部が頂戴する全体のロイヤリティも他社と比較して低いんですけどね(笑)
加盟店にやさしい設定なんですね。
本部収益率が、とにかくコンビニチェーンなのでとにかく断トツに低いです。本部が儲からないんです。本来は、フランチャイズチェーンとしては、よくないと思います。
ただ、加盟者の方が継続して商売をする。儲けが出やすいビジネスモデルであることは大切にしていて、検討者の方にはぜひ、中身を見ていただきたいと思います。
本部として今後出店を強化したい、エリアはあるんでしょうか?
人口がどんどん都心部に移動しているという意味では、大都市圏は重要なポイントです。ただ、ドコのコンビニもそれは分かっていて、狙って拡大しようと参入していますので、そこにどのように入り込んでいくかがポイントだと思います。
普段加盟検討者の方と結構コミュニケーションを取っていると思いますが、こういう考え方や心持だとあまり成功しない、失敗するよ、というケースはありますか。例えば、お金だけを出しても情熱がないと駄目だとか、いろいろとケースは本部によってあると思いますが。
そうですね、成功、失敗それぞれ3つの要因があると考えています。
1つは、覚悟です。例えば当社の説明にお越しになる6割ほどが会社員の方です。
会社員から経営者になる事をどこかで延長のように考えている方もいます。例えば、ある程度、給料は入るだろうという勝手な思い込みや、本部の言う通りやれば儲かるだろう、という幻想を全部取っ払ってほしいです。
経営者になればすべて自己責任。我々本部は建物を用意して教育もします。ただ、オーナー自身の働き方。アルバイトや社員の方などの人の管理、お金の管理、商品の管理は自分たちがやるのです。
その中で、自分で考えて、休日はこれだけ取れるとか、考えて利益を出していくのです。「これで俺は食っていくんだ」という覚悟の有無で、成功するか失敗か、変わってきます。
2つ目は、ビジョンです。仕事をする上で無理な目標であった場合、近づこうと努力をするじゃないですか。ですから、経営者もそれが絶対に必要なのです。何らかの身近な目標や、少し遠いビジョンがあって、それに向かって頑張ろうという気持ちです。
3つ目は、得手不得手がありますが、コミュニケーション能力です。仮に人見知りをしたとしても、努力を続ける人は成功しています。この3つ目が、一番大きいのではないでしょうか。
お客様を相手にする商売ですから、お客様とも会話を毎日することもそうだし、店長の明るさでお店の雰囲気が出来上がる。どこのコンビニも入って明るい、暗いがあると思いますが。そうした差が結果として業績にも繋がりますね。
同じ業態で、同じ条件にも関わらず、なぜこんなに差が出るのか、それはココだよね、ということです。ただ、本部として接客面の教育をもう少しサポートしたいという事も考えています。ただ、「俺は向いてないんだ」と言う方がいますが、それは違います。
最初は誰でも不慣れではあるものの、どういう気持ちで仕事に取り組むのか。 やっぱりお越しになったお客様が気持よく買い物できるかは接客が大事です。
積極的に店舗に立ち、前線でスタッフを鼓舞するように働くオーナーもいれば、裏方ばかりやってしまうオーナーさんもいる。そこは、難しいところだと思いますが、ココは外せません。
加盟検討者の方へメッセージをいただきました
なるほど、お聞きしているとどれも大事ですね。現在、ミニストップへの加盟を検討されている方にメッセージをいただけますか?
まずは一歩踏み出してほしい、行動してほしいです。イベントにお越しになって、コレはどうだろう?と思ったらまず話を聞いて下さい。
もう少し勉強をして頂きたいですね。その状態で本当に経営者になろうとしているのですか?という方がいるのは事実です。 コンビニが日本に何店舗あるかとか、そんなことはどうでもいいのです。 もう少し、「ミニストップって、ソフトクリームが美味しいよね」、「イートインがあっていいよね」と、その先が続かないんです。
もっと真剣に覚悟を決めてやらないと成功しない事業だし、フランチャイズも契約事で、フォローはあるけれど生活費まで本部がフォローするわけではないんです。本部が全部何とかしてくれると甘えるのはよくありません。本部に、おんぶor抱っこはしていいと思いますが、おんぶに抱っこは駄目なのです。
そのくらいの感覚でいて欲しいと考えていて、本部を上手く利用してほしいんです。 いろんな面で「こう思うのだけど、こうできないの?」と意見を言っていただいても構いません。繁盛させるという目的も含めて一緒にやっていくのですから。よきパートナーとして、ふさわしい姿でいていただきたいです。
過去最高の出店を計画
本音でお伝えいただきありがとうございます。 ミニストップは何年後に何店舗にするというビジョンがあるんですか?
明確な数字は言えませんが、ひとつ言えることは、とにかく今は過去最高の出店を計画しています。今後数年はドンドン店舗を増やしていく予定です。
ソフトクリームやハロハロが「食べたいけれど、食べたいと思ったときにミニストップがないんだよね」というお声を多く頂戴します。
まだまだ全国に店舗数が少ないので、お客様の期待にお応えしたいという思いがあります。これから店舗を積極的に増やす事はお約束します。
海外についても現在2カ国で交渉していますので、引き続きアジアで拡大していきます。
昨年、5,000店舗を突破しましたが、韓国が今、すごいんです。フィリピンも増えてきたし、中国も順調になってきました。
もう日本のコンビニではないんです。アジアのコンビニという誇りを持ってミニストップはこれからもチャレンジしていきます。
ありがとうございました!
編集後記
筆者は自宅の近所に大きな駐車場を有するミニストップを重宝している為、非常に愛着のあるフランチャイズ本部だった。
ミニストップと言えばソフトクリームという印象だったが、同じコンビニという括りで考えても利益率が大きく異なり、オーナーの頑張りが”報われるシステム”を採用している点は非常に好感を持てた。
アジアで大きく業績を伸ばしているのは知らなかったが、飽和状態だと考えていた国内市場も全く違う考えで、これから積極的に店舗展開を行うという姿勢は新鮮に感じた。
この数年で社内も大きく変わったようだが、誠実に加盟者に向き合っている印象を受けた。資料だけでは伝わらない想いや感情をぜひ直接聞いてみることをオススメしたい。
今夜も帰りにソフトクリームを買って帰ることにしよう。
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